映画「人狼」(キム・ジウン、2018)感想

映画「人狼」(キム・ジウン、2018)を見ました。


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予告:https://youtu.be/Ql7BLsBQaHQ

"2029年、南北の政府が統一を宣布。しかし、統一に反対する反政府のテロ団体・セクトが次々と蜂起し、政府の警察組織・首都警はセクトを制圧するため「特機隊」を設立。パワードスーツで武装した人間兵器である「特機隊」とセクトによる凄惨な戦闘が日々繰り返されてきた。

特機隊員イム・ジュンギョンは、ある任務でセクトの少女闘士が自爆する光景を目の当たりにしてしまう。やがて彼は少女の姉ユンフィに出会うが、ジュンギョンとユンフィは「特機隊」と公安部の暗闘に巻き込まれていく。"

 

人狼っていうと

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を思い浮かべる人が多いでしょうが、今回はどっちかっていうと

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こっちです。

沖浦啓之監督のアニメーション映画「人狼 JIN-ROH」を韓国で実写化したのがキム・ジウン監督の「人狼」です。ややこしいですね。以降はアニメ版、実写版、と区別していきます。

一応、アニメ「人狼」のあらすじ

"過激派が武装闘争を繰り返す日本の首都東京。その治安を受け持つ警察機構の一つ首都警は、強化装甲服を身に纏った特機隊を編成し対抗していた。隊員伏一貴は、任務中赤頭巾と呼ばれる過激派部隊に所属する少女と遭遇するが、彼女を撃てず自爆に巻き込まれる。生還した彼は再訓練を命じられ、そしてその少女の姉と名乗る女、圭と出会う。それは、首都警を巡る陰謀に巻き込まれた二人の過酷な運命の始まりだった。"

予告:https://youtu.be/tmmoBsMw5w

 

アニメの人狼もめちゃめちゃ好きなんですけどいかんせん話がややこしかったんですよね。僕は物語に人間が3人以上出てくると初めの1人目から順に忘れていく呪いにかかっているので見終わった後「陰謀って結局誰が何をしたかったんだ・・・?」でした。二回見たんですけど結局分からなかったのでその辺は僕には無理そうです。

しかし、作画と音楽はアホでも分かるほど素晴らしく、童話「赤ずきん」になぞらえて進められる男と女の物語は幻想的な儚さとハードボイルドさを併せ持ち、渋くて格好いいので是非見て欲しいです。

 

また前置きが長くなりました。今回の実写リメイク、ストーリーラインの大きな変更はなかったものの韓国映画らしく、キャラクターの怨念が増し増しといった感じ。

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韓国映画は怖い目をする人が沢山出て来て楽しいですね。劇中で「奴等は人の皮を被った狼なのさ」(うろ覚え)という台詞があるのですが、役者陣の獣の様な目力によってまさに!という説得力を持たされていました。

そしてアクションですよ。これがもう素晴らしかったですね。繰り出されるパンチやキックからほとばしる殺意が画面に滲み出てました。それも、憎しみから叫びながら感情に任せて殴るという感じではなく、あくまでプロフェッショナルとして的確に殺していくスタイルが痺れるようにかっこよかったです。


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飛び蹴りの勢いも凄まじかった。


ステマティックなアクションを追求するとどうしても作業感が出てきてしまうのを色んな映画で散見するのですが、今回は違います!プロフェッショナルとして、的確に、殺意を込めて、殺していくのです。「なんのこっちゃ?」と思われるかもしれませんが、見たらこの違いが絶対に分かるはずです。

同じアジア圏として韓国映画におけるアクションのクオリティの高さは羨ましいですね。

 

因みに細かいストーリーに関しては今回もわかりませんでした。「あいつは結局何の目的があって何をしてたんだ・・・?」てのが大量発生しているのでその辺を読み取れる人が観たらもっと楽しめるのではないでしょうか。

 

Netflix入ってる人には是非見てほしいですね。

では!

 

 

映画「クワイエット・プレイス」(ジョン・クラシンスキー、2018)感想

映画「クワイエット・プレイス」(ジョン・クラシンスキー、2018)を見てきました。


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予告:https://youtu.be/ianqVH5nYfg

"音に反応し、人間を襲う"何か"によって荒廃した世界で生き残った1組の家族がいた。

その"何か"は呼吸の音さえ逃さない。誰かが一瞬でも音をたてると、即死する。

手話を使い、裸足で歩き、道には砂を敷き詰め、静寂と共に暮らすエヴリン&リーの夫婦と子供たちだが、なんとエヴリンは出産を目前に控えているのだった。

果たして彼らは、無事最後まで沈黙を貫けるのかーー?"

 

映画館がめっちゃ静かでした。

上映前お腹が減ってたのでポップコーンかなんか買って入ろうか迷ってたんですけど、完全に買わなくて正解でしたね。

というのもこの映画、ほとんど台詞がないんです。時々BGMが流れる以外は、ほぼ無音。登場人物の足音や、衣擦れ音だけが館内に響くのです。こんな中でポップコーンなんて食べてしまったら大変なことになりますね。

実は、隣の席の人が最初ポップコーンを食べてたんですよ。主人公達が音をたてないように抜き足差し足でアクションをする中、横の人のシャクシャクが館内に響き渡るのです。その人もすぐにこれは不味いと思ったんでしょうね、ファストシーンの半ばくらいから物凄い勢いで食べ始め、なんとかタイトルコールの前には完食してました。

めでたし。

 

映画自体も非常に楽しかったです。

音を立てるな!というルールが非常に上手く効いてまして、キャラクターの一挙一動にいちいちドキドキさせられるんですよ。足音に気を付けるのは勿論、物を落としたりしてもアウトなので、狭い室内でのシーンは神経がずっと逆立ってました。大きいリュックサックを背負って手作り陶器市を散策させられてる様な気持ちです。

後半、モンスターが画面に姿を表してからはジュラシックパーク的なホラーにテイストがガラッと変わります。音の設定を活かせてなくて勿体ない!て人も多いようですけど、針でつつくような恐怖が90分続くと僕なんかは疲れ切ってしまうので前半キリキリ、後半ジュラシックくらいが盛り上がれて丁度良かったです。

あと、主役夫婦のジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラント


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映画内だけでなく実際にも夫婦でして、f:id:bagubagu0212:20181011110907j:image

それを知ってたからかも知れませんけど、演技になんとも言えない説得力というか、苦境を乗り越えた二人感にリアリティーを感じれて良かったです。

あとめっちゃ野次馬ですけど現場の雰囲気が気になりますね。撮影終わった後はやっぱ二人同じ車に乗ってバーイ、てするんでしょうか。

 

映画の感想は絶対にネタバレ等したくない派なので、色々言いたいことはあるのに書ききれなくて残念です。

とりあえずビビりたいけどあんまり怖いと疲れる!て人にオススメです。

普段は「音の迫力が全然違うから映画館行って!」と言いますが、今回は「音を極力聞かない為に映画館行って!」と言って纏めておきます。

映画「バーバー」(コーエン兄弟、2001) 感想

映画「バーバー」(コーエン兄弟、2001)を見ました。


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予告:https://youtu.be/htxvLcSnOU0

"退屈な日々を送る理髪師に転機が訪れる。彼が思いついたちょっとした恐喝は、悪夢のような日々の始まりだった。"

 

コーエン兄弟といえば、小さな悪巧みが凶悪事件に発展していく「ファーゴ」など、皮肉の効いたブラックジョークや登場人物が話す寓話的な例え話がなんとなくクール、っていうイメージの監督です。ただ僕は理解力が低すぎて、見ても「あ~あ~、いわんこっちゃない~」位の感想しか抱けないので特別好きな監督ではありませんでした。

今回の鑑賞の目当ては別のところにありまして、

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渋いオジンだ。

撮影監督のロジャー・ディーキンスという方です。過去13回もアカデミー賞撮影賞にノミネートされるも一度も受賞したことがなく、ついた渾名が「無冠の帝王」。めちゃめちゃカッコいいですね。

しかし去年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と組んだ「ブレードランナー2049」で念願の初受賞が叶いました。


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や、

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など、光源を被写体のバックに置いたショットの構成が非常に美しいです。

 

さて、前置きが長くなってしまいましたが、「バーバー」も映像がめちゃめちゃクールでした。

 

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モノクロかつシルエットショットを多用することによって、画の抽象性が物凄く高くなってる気がしますね。

劇中、理髪師である主人公をありとあらゆる不幸が襲います。しかし、彼は決して感情を表に出しません。怒りもせず、泣きもせず、笑いもせず、それまでと同じように訪れる客の髪を切るのです。その徹底した無感情っぷりがディーキンスによる抽象的な、いわば感情を排した画作りと物凄くマッチしていました。

これまで見たコーエン兄弟の作品は、登場人物が皆情緒豊かで、「どれだけ必死に騒いでも現実はああ無情」からくるブラックな笑いを楽しむ物語だったのですが、「バーバー」は全くの逆でした。「現実は奇妙にも転々とするが、主人公は抵抗する術を知らずただ無情に流されて行く。」

ネタバレをしたくないので結末や話の流れに関するコメントは避けますが、「最近イライラしてるけど、人と喧嘩する元気もないぜ」って人にオススメします。結局現実って皮肉に動くものだから、受け入れるのが一番賢いかもね、という教訓を得ました。正しいかはわからんけど。

観賞後は諦めと解放の狭間の感覚に襲われました。面白かったです。

 

 

 

 

 

 

 

名は体を現す

こんにちは。ブログ始めました。なんとなく新しいことがしたいなと思ったからです。

しかし今時一般人のブログなんて見てもらえるんですかね。何かしら一芸を持たなければ、ということで自己紹介をします。

漫画を読むのと映画を観るのが好きです。

材料工学の勉強をしています。

漫画と映画が好きなブロガーは星の数ほどいるけれど、材料工学を専攻しているブロガーはそんなにいないはずという読み、当たってくれ。そもそも需要があるかもわからんけど。色んな人が興味を持ってくれるように材料の話が出来たらいいですね。

あともちろん漫画と映画の話もします。好きな漫画はジョジョ、好きな映画はレヴェナントです。

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綺麗だ。